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2026/08/21

椎間板ヘルニア

 腰の椎間板ヘルニアで悩んでおられる方のお問い合わせを多くいただきます。

 

 椎間板ヘルニアは腰に負担のかかる姿勢が長時間・長期間続いたり、腰に急激な負担がかかると背骨と背骨を繋いでいる椎間板に亀裂が入り、そこから髄核というものが押し出されて神経にあたって痛みや痺れといった症状が出現します。

 椎間板の構造は内部の中央に髄核という軟骨の一種があり、その髄核を取り巻くように線維輪という線維軟骨があります。椎間板は背骨の動きを補助したり、体重を支えてクッションの役割をしています。

 線維輪は20歳を過ぎたころから水分が減ってきて弾力性がなくなり、ところどころひび割れが生じます。ただ、その状態でも髄核は十分に水分を含んだ状態で弾力性も保たれています。この様な状態で椎間板に強い力が加わると、椎間板内部の圧力が一時的に上昇してしまい、線維輪の割れ目から髄核が押し出されてくる。この状態が椎間板ヘルニアです。

 イメージしてみてください。少し日にちが経った大福餅があるとします。お餅の部分が線維輪であんこの部分が髄核です。上から圧力をかけると割れ目から中のあんこが出てきますよね。こんな状態がヘルニアです。

 ヘルニアが出てしまう箇所は第5腰椎と仙骨の間、第4腰椎と第5腰椎の間が圧倒的に多いです。というのも、ここは上半身の荷重が1番かかる所で、腰椎ヘルニアの約90%がこの辺りに出ると言われています。

 急性のヘルニアになってしまうと、仰向けに寝て膝を伸ばした状態で脚を上げるにも腰や脚に激痛を伴ってしまいます。また、この検査で脚の角度で前述した第5腰椎と仙骨の間か、第4腰椎と第5腰椎の間かが分かります。この検査方法をラセーグテスト(下肢伸展挙上テスト)と言います。

 70度未満で下肢や腰に痛みが出現し、脚を上げることが出来ない場合、この検査は陽性と判断し腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経の圧迫を確認します。

 坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニアは症状が非常によく似ています。坐骨神経痛は、ヘルニアや脊柱管狭窄症、梨状筋症候群(お尻の筋肉が硬くなる)などでも起こります。

 こんな話を聞いたことがあります。画像検査でヘルニアが出ているのが確認できた人がおられました。激痛まではいかないものの脚の痛みや痺れが出現していたそうです。セカンドオピニオンでも同様の診断を受けて手術する事を決めたそうです。手術日が決まりそれまでは自宅療養をされていて手術日が近づいたので入院し、再度画像検査を受けたところ、ヘルニアが消えていたそうです。

 どういう事かというと、椎間板から飛び出したヘルニアは本来は生体に無いものです。これを白血球(血液に含まれている細胞の成分で、体の外から体内に侵入してきたウイルスや細菌を退治して、体を病気から守る免疫作用)の一種であるマクロファージ(体内の異物をウイルス、細菌、死んだ細胞を処理する働き)が飛び出したヘルニアを異物と判断して食べてしまった結果、神経根を圧迫していたヘルニアは消失した。という例もあります。

 来院していただいた患者さんは当院に来られる前に病院でMRI画像検査でヘルニアが出ているとの診断を受け、数週間病院で治療を受けたそうですが、一向に症状が改善せず約1ヶ月仕事にも行けずに悩んでいたところ、当院のホームページを見ていただき来院していただくことになりました。

症状は、左の腰、膝の外側から太もも全体にかけて痛みが出現している状態で、股関節周りの可動域を細かく検査したところ、どの動きも正常な可動域が無い状態で、お尻周り、太ももがカチカチに硬くなっていました。この状態では上記で書いたように坐骨神経が圧迫され痛みや痺れの原因になります。

 また、太ももの前面部にも痛みや痺れを訴えておられたので、トーマステストというのも行いました。これは大腿直筋と腸腰筋という股関節を屈曲(曲げる)させる筋肉です。

 腸腰筋という筋肉は背骨から骨盤部を越えて大腿骨(太ももの骨)に繋がる大腰筋と、大腰筋の前にあり、骨盤の恥骨に向かって走る小腰筋(この筋肉は半数以下の人しか存在しません)。腸骨筋という骨盤の内側から大腿骨に繋がる筋肉の総称です。

 大腿直筋は股関節を通り大腿骨の前面部を走行して、膝関節を越えて脛骨(すねの骨)まで繋がっている筋肉です。股関節を曲げる他に膝を伸ばす際に働く大腿四頭筋という筋肉の一部になります。

 検査方法としては、ベッドから下腿部(膝から下)を下ろして座り、その状態から仰向けに寝ます。この状態で片方の股関節と膝の関節を曲げて抱え込むような形を取ります。

 例えば、右の股関節と膝関節を曲げてきたとき、左の大腿部がベッドから浮き上がることなく密着していたら左の腸腰筋は柔軟性があると判断出来ます。逆に左の股関節と膝関節を同様に屈曲した際、右の股関節も引っ張られてベッドから大腿部が浮き上がるようであれば右の腸腰筋は柔軟性がなく硬い状態といえます。

 もう一つの大腿四頭筋の評価は、下垂した下腿部が前方に振り出したようになれば大腿四頭筋が硬くなっていると判断します。

 患者さんの場合、腸腰筋は左右差があまりない状態でしたが、大腿四頭筋は症状が出ている方の脚は下腿部が大きく降り出していました。

 また、症状が出ていた側の脚はヘルニアが長期間神経を圧迫していた為か筋肉が痩せてしまい筋萎縮が起きていました。

 先ずは仰向けになっていただき、お尻と太ももをしっかりとストレッチをしました。股関節を外旋させた状態で胸の方に引き寄せる屈曲という形でお尻の筋肉(大殿筋)を伸ばし、深層外旋六筋の1つである梨状筋もしっかりとストレッチ。梨状筋の下には人体で1番太くて長い坐骨神経が通っています。この神経を梨状筋が覆う様に走っていて、筋肉が硬くなり神経を圧迫することで神経の走行に沿ってお尻から太ももの裏、足にかけて電気が走るような痺れや痛みが生じます。

 その後に、太ももの裏にあるハムストリングをしっかりとストレッチをしました。この時点で、脚の痛みの為に伸ばせなかった膝が伸ばせるようになり、寝ているのも楽になったようです。

 次に、トーマステストで腸腰筋と大腿四頭筋が硬くなっていて、大腿神経の圧迫も考えられたので、うつ伏せになっていただき、太ももの前面部にある腸腰筋と大腿四頭筋のストレッチを行いました。

 もちろん骨盤の後傾がもたらす背骨の歪みも考慮し骨盤矯正を行なったところ当初の痛みが半減し、来院時は最寄りの中百舌鳥駅から10分もかからない当院までタクシーで来院されましたが、「帰りは駅まで歩いて帰れた。」と2回目の来院時に仰っていました。

 自宅でも決して無理のない範囲でのストレッチや運動を行っていただいて、普段の椅子に座る姿勢も気をつけていただき、数回同様の施術を行なったところ、症状が改善して仕事にも復帰できるようになりました。

 その後も遠方にも関わらず定期的に体のメンテナンスに来院していただいております。